こんにちは、GODIVEです。投稿遅くなり失礼致します。
3回かけて、弁理士論文試験特許の侵害系統の問題についてコメント等記載していきますが、今回は2回目です。
今回は、損害賠償額の算定についてです。宜しくお願い致します。
↓以下問題など
令和6年度弁理士試験論文式筆記試験問題 [特許・実用新案]【問題Ⅱ】 より抜粋
甲は、塗料に係る特許発明イ(以下「発明イ」という。)についての特許権Pの特許権者であり、発明イの実施製品である塗料aを製造販売している。特許権Pの特許請求の範囲には「塗膜成分A及び溶剤を含み、前記溶剤は、化合物B、C及びDの中から選択される塗料。」と記載されており、明細書には、発明イの作用効果として、塗膜成分Aを用いることにより耐水性が高い塗料を提供可能である旨が記載されている。
甲は、特許権Pに係る発明イの実施について他人に許諾したことはない。
乙は、特許権Pに係る特許出願の日後から現在に至るまで、塗料bを製造販売している。
また、特許権Pに係る特許に無効理由はないものとする。
以上の事実関係を前提に、以下の各設問に答えよ。
なお、問題に示されていない事実をあえて仮定して論じる必要はない。
2 甲は、乙による塗料bの製造販売により、市場で競合する甲の塗料aの売上が減少したと考えて、乙による塗料bの製造販売が甲の特許権Pの侵害であることを理由に、乙に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。
ただし、塗料a及び塗料bは、1製品あたり同じ量で販売されているものとする。
(1) 甲が販売する塗料aの1製品当たりの利益額の方が、乙が販売する塗料bの1製品当たりの利益額よりも高い場合、甲は、より多くの金額の損害賠償を請求するために、特許法上の規定に基づいて、損害額の算定についてどのような主張をすることができるか、その根拠を示すとともに、説明せよ。
ただし、本問(1)の段階では、実施料相当額に基づく算定は考慮しないものとする。
(2) 甲がした上記(1)の損害額の算定の主張に対し、乙は、当該訴訟において、塗料bの販売数量のうち 70%は、乙の営業努力の結果、販売することができたのであって、甲は塗料aを塗料bと同じ数量は販売できなかったと考えている。この場合、乙は、甲の主張する損害額を減額するために、特許法上の規定に基づいて、どのような主張をすることができるか、説明せよ。
(3) 甲は、乙がした上記(2)の損害額の減額の主張が認められる可能性が高いと考えた場合、減額部分について、特許法上の規定に基づいて、どのような主張をすることができるか、説明せよ。
→特許権侵害訴訟における損害額の算定と主張・立証について問われているかと存じます。
下記URL(BISINESS LAWYERS)で当該背景など詳細に記載されております。
参考:https://www.businesslawyers.jp/articles/1332
設問(1)について
甲は、aの1製品当たりの利益額を乙の譲渡数量に乗じて得た額を損害額として主張することができる(特許法102条1項柱書)。
設問(2)
bの販売数量のうち 70%は、乙の営業努力により販売できたものであるため、本問⑴の譲渡数量より 70%が控除されるべきであると主張することができる(特許法102 条1項1号かっこ書)。
設問(3)
特定数量である乙のbの譲渡数量の 70%について、甲のPの実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を請求することを主張することができる(102条1項2号)。