こんにちは、GODIVEです。投稿遅くなり失礼致します。
さて今回の投稿ですが、今年1月30日に判決(知財高裁第2部)が出た「ダパス、本発明を自律的に発明した人工知能」の発明者適格性についてです。
判決
参考:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/757/093757_hanrei.pdf
・ダバス(DABUS):Stephen L. Thaler氏が開発したAIの名称・対象の特許出願(PCT出願)
参考: https://patentscope2.wipo.int/search/en/WO2020079499
・googlepatent
参考: https://patents.google.com/patent/WO2020079499A1/en?oq=WO2020079499
・2025年の発明の論文
参考: https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/hyou/202504hyou.pdf
特許庁は、発明者として記載できる者は自然人に限られるとして、この出願を却下しました。出願人はこの処分の取り消しを求めて訴訟を提起しましたが、裁判所も、特許法における「発明者」は自然人に限られると判断し、特許庁の出願却下処分は適法であると結論付けました(東京地裁令和6年5月16日判決、知財高裁令和7年1月30日判決)。 なお、発明者として、タパスは認められなかったのですが、このタパス自体については、米国で特許権設定されております。
US10423875
参考:https://patents.google.com/patent/US10423875B2/en?oq=US10423875
当該判決では以下のように「AI発明に関する特許制度の在り方は立法政策の中で検討すべき問題」と記載されております。今後検討されるかは?というところですが。
↓
原告は、AI発明の出願において発明者の氏名を必要的記載事項とした場合、発明者でない自然人を発明者として記載した出願の増加を招く問題点がある旨主張し、さらに、このような冒認出願に係るAI発明の特許は、冒認を理由とする無効審判の請求権者である利害関係人が存在せず、無効とならない問題点がある旨主張する。 原告が指摘するこれらの問題は、AI発明の存在を前提としていない現行法の問題点の一つといえるが、発明者の氏名欄の記載を必要的記載事項でな5 いと解すれば解決するものではない。原告の指摘する問題点は、前記のとおり、AI発明に関する立法政策の議論の中で検討されるべき問題であって、現行法の解釈として、発明者の氏名欄の記載が必要的記載事項ではないと解する根拠にはならない。 なお、原告指摘の冒認出願については、特許の拒絶の査定をする理由になる(特許法49条7号)ほか、侵害訴訟において特許無効の抗弁として主張することは可能である(同法104条の3第1項、3項)。AI発明において同法123条2項の利害関係人(特許を受ける権利を有する者)として同1項6号に該当することを理由に特許無効審判を請求する者が存在しないとしても、それは現行法が予定していなかった事態が生じたというだけで、特許法上、自然人を発明者とする発明についてのみ特許付与が可能である旨の前記解釈を変更する理由にはならない。