学生さんから、次の質問を受けました。
「一つの物品について意匠権と著作権が同時に認められる例はあるか」
結論を先に申し上げるならば、一つの物品について意匠権と著作権が認められる例はあります。
同一の対象であっても、見方によって様々な権利で保護することが可能な場合があります。
例えば、一つの物品のデザインを、物品の形態と見れば意匠権で保護されうるし、創作的な表現と見れば著作権で保護され得ます。
4年ほど前の知財高裁の判決で、幼児用の椅子の形態が著作物である、つまり著作権により保護されると判断された例があります。この椅子の形態について意匠登録をしていたならば、意匠権によっても保護されていた事例だと思われます。
なお、著作権と意匠権とでは、その権利が発生する条件が異なります。特に著作権は特別の手続をすることなく発生します。一方意匠権は、特許庁に登録をしなければ権利が発生しません。