学生からの質問20

学生さんから、こんな質問を受けました。

 

特許権の存続期間が経過している特許技術は実施しても問題ないですか?

 

特許権の存続期間は、原則として特許出願から20年です。

新しい技術について独占させることにより、研究開発等へのインセンティブが付与され、これにより、産業の発達が期待できます。しかし、陳腐化された技術の保護は、逆に産業の発達を妨げることになります。このバランスをとって、このような期間が設けられています。ですので、原則としては、特許権の存続期間が終了した特許技術は、自由に実施できる、ということになります。

しかしながら、ことはそう単純にはいきません。

例えば、先の発明が上位概念でありその下位概念であって特に効果が顕著なものである「選択発明」と呼ばれる発明について、後に特許権が取られている場合があります。先の特許発明の権利期間が終了していたとしても、後の「選択発明」にかかる特許権にかかる技術を実施すれば、その後の特許権についての権利侵害となってしまいます。

他に、「ある物の未知の属性を発見し、この属性により、当該物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明」(用途発明)の場合にも、すでに存在したある物が特許発明にかかる物であってその特許権の存続期間が経過していたとしても、後にその用途発明について特許権が取得されていれば、その物の実施が用途発明に関する特許権の侵害になってしまう場合があります。
こういった事象は、技術分野に毎の特徴としてあらわれます。

特許権が切れているから安心とは言えませんね。油断大敵です。

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