こんにちは、GODIVEです。
さて今回の投稿ですが、特許権の延長登録出願について、事例を挙げて紹介させていただきます。
1.特許権の延長登録出願について:
特許庁HP
参考:https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/extension_of_patent_term.html?fbclid=IwY2xjawLARLRleHRuA2FlbQIxMABicmlkETFrcXJSYldzdkl2RGNHd0QwAR7HieIHGBd0iGdBg07uN01Ad5LjBAY0Ik-Fjhpzj5-cjMG69MJKrkpn_NIJtA_aem_12_NxLmDTQ-mHRCql4-HkA
BUSINESS LAWYERS
参考:https://www.businesslawyers.jp/practices/926
特許権の存続期間延長登録(延長登録)は、出願後20年の特許権の存続期間満了後も、例外的に特許権を存続させる制度です。
現在は、特許法67条2項の制度(画像1)と67条4項の延長登録(画像2)があります。
画像1:特許庁の審査の遅延を理由とする延長登録(特許法67条2項)
画像2:臨床試験など政令処分を受けるために必要な期間の延長登録(特許法67条4項)
画像2で示す事例を今回紹介していきます。
2.東レ社(特許権者) vs 沢井製薬社・扶桑薬品工業社の事例
対象の東レ社特許権:特許3531170 レミッチ(登録商標)に係る特許権
参考:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-H10-524506/10/ja
⇒このURLからアクセス可能ですが、延長登録出願が4例あり、以下のように薬剤の形態(OD錠:口腔内崩壊錠、カプセル)・用途ごとにそれぞれ設定されております。
・特願2015-700061
→処分の対象となった物:
販売名がノピコールカプセル2.5▲マイクロ▼g、有効成分がナルフラフィン塩酸塩
→処分の対象となった物について特定された用途
慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)
・特願2017-700154
→処分の対象となった物:
販売名がレミッチOD錠2.5▲マイクロ▼g、有効成分がナルフラフィン塩酸塩
→処分の対象となった物について特定された用途
次の患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)、血液透析患者・慢性肝疾患患者
・特願2017-700309
→処分の対象となった物
販売名がレミッチカプセル2.5▲u▼g、有効成分がナルフラフィン塩酸塩
→処分の対象となった物について特定された用途
次の患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)、透析患者・慢性肝疾患患者
・特願2017-700310
→処分の対象となった物
販売名がレミッチOD錠2.5▲u▼g、有効成分がナルフラフィン塩酸塩
→処分の対象となった物について特定された用途
次の患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る) 透析患者・慢性肝疾患患者
この対象特許権及び延長登録出願により、長年、訴訟が続いております。
直近の東レ社プレスリリース:2025年5月27日
参考:https://www.toray.co.jp/news/article.html?contentId=gkahdual
直近の沢井製薬社のプレスリリース:2025年6月9日
参考:https://www.sawai.co.jp/release/detail/000890.html
直近の扶桑薬品工業社のプレスリリース:2025年6月6日
参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4538/tdnet/2636074/00.pdf
→これらのプレスリリースでも挙げられているように、訴訟については上告しているということでまだ続いております。
事件の背景(一例):
東京地裁平成30年(ワ)38504, 平成30年(ワ)39508
参考:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/391/090391_hanrei.pdf
他のブログの引用ですが、以下「医薬系特許系判例ブログ」に表形式含めて纏められております。
参考:https://www.tokkyoteki.com/2021/06/2021-03-30-toray-v-sawai-h30-wa-38504a-h30-wa-39508b.html
今回は、延長登録出願の事例が直近で動きがあったものがあったので挙げさせていただきました。