用途発明について(アイスクリーム充填苺事件等)

こんにちは、GODIVEです。

今回は、用途発明の続きで、作用・機序クレームといわれているものについて少し触れていきたいと考えております。当該クレームの事案については、訴訟等が複数あり、今回は数例挙げていきます。

 

【例1:アイスクリーム充填苺事件】

対象特許のURL:

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-3359624/8FE3E4DECF0C9AB7448C0BAC12A2257FCB6B2C3A83E8DD2D4A3BF4728F8F89AF/15/ja

芯のくり抜かれた新鮮な苺の中にアイスクリームが充填され、全体が冷凍されているアイスクリーム充填苺であって、該アイスクリームは、外側の苺が解凍された時点で、柔軟性を有し且つクリームが流れ出ない程度の形態保持性を有していることを特徴とするアイスクリーム充填苺。

実際の訴訟情報:

https://tokkyo.hanrei.jp/hanrei/pt/722.html?fbclid=IwAR2g5E2kMypaGj1NkNrd-CZIyP2Fc35OpmvZdwHdJ5vzGmSrgSLKtHz5YSg

対象特許は、結局は権利期間満了前に年金未納という形で消滅となったようです。特許付与とはなったのですが、当該訴訟にて「外側の苺が解凍された時点で、柔軟性を有し且つクリームが流れ出ない程度の形態保持性を有していること」という記載のみによって発明の技術的範囲を明らかにすることはできず、当該記載に加えて明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌し、そこに開示された具体的な構成に示されている技術思想に基づいて当該発明の技術的範囲を確定すべきものと解する、ということが当該訴訟の審理では示されております。

 

【例2:拒絶確定となった機能性食品のクレーム例、摂取経路の特定】
対象特許情報

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2018-090619/DDF883DEA724F71AB0B06DE804DBA6CE492156124BDE8479AD5A27238DED6B04/11/ja
審決における判断(引例との相違点について)
引用発明の「組成物」と本願発明の「脂質代謝促進用組成物」とは、実質的に同じ目的を達成する組成物であり、各々を含有する、引用発明に係る「スリムティー(機能性食品)」と本件補正発明に係る「機能性食品」とは、いずれも脂質の低減による肥満の予防・改善(ダイエット)を目的とする者が摂取するものであり、摂取をする者について実質的に区別することができない。「経口摂取することによってエネルギー代謝総量(糖質代謝及び脂質代謝の合計)における脂質代謝の割合を増加させる」ことで「脂質代謝促進」作用を有するという属性を見出したことに基づく本願発明において、たとえそれが未知の属性であったとしても、本願発明が、その未知の属性を発見したことによって引用発明とは異なる新たな用途を提供するものとはいえない。

 

【考察等】
 発明の流れとしては、どの分野でも構成→作用→効果、となるかと存じます。なんだかんだで、特許クレーム創出する際は、「何か作用が発揮するのであればその構成は?」ということを掘り下げていくことになるかと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント

お名前 *

ウェブサイトURL