SHEINの問題と「ファッション未来研究会~ファッションローワーキング・グループ〜」の設置

報道によれば、現在急成長中のファッションブランド「SHEIN」は世界中で支持を得ており、その企業価値の評価額は「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの時価総額を上回ったとのこと。

しかし一方で、SHEINで販売されている商品に関し、知的財産権侵害を理由とした訴訟が複数件提起されているおります。報道によれば、「STUSSY」や「DR. MARTENS」といったブランドと係争中とのことです。


ファッションについて、その知的財産を保護する日本の法律の代表例としては、商標法、意匠法、著作権法、不正競争防止法が挙げられます。ブランドの名称やロゴマークは、商標登録することにより保護することができます。ブランド名やロゴは使用を継続することが前提にあると思われますので、ビジネスを行う上では商標登録は必須と言っても過言ではないと思います。


被服のデザインなどの形態については意匠登録することも可能です。また、ファッションの形態を継続的に実施した結果、そのブランドの定番と認識されるようになれば、不正競争防止法上の主張も行いやすくなってきます。この点、ウェブの情報ですが、「DR. MARTENS」は、上記の訴訟において、自社のブーツの形状について、商標権侵害を理由とする主張をしているようです。これは、立体商標にかかる登録商標に基づく商標権の主張ではなく、おそらく「トレードドレス」に関する主張ではないかと推測いたします。


一方、ファッションのデザインは継続的・普遍的なデザインだけではございません。短期間で人気となるものもございます。このようなデザインの保護のために意匠登録を利用するにしても、出願から登録までのタイムラグを考慮する必要などが出てきます。また、どこまで投資するか、という判断も必要になってきます。
著作物と判断できるようなデザインであれば、著作権で保護する、ということも考えうると思います。


このような状況も踏まえ、経済産業省は、ファッションに関わる法的論点等の整理などを目的として、ファッションローに係る幅広い検討を行うため、「ファッション未来研究会~ファッションローワーキング・グループ〜」を設置することを発表しています。
今後の動きに注目です。

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