商標「ゆっくり茶番劇」について①

巷を騒がしていた「ゆっくり茶番劇」の件が、少し前に問題になりましたが、落ち着いてきました。そこで改めて、商標法の視点から本件について検討してみたいと思います。

事案の概要ですが、ある個人が「ゆっくり茶番劇」という文字からなる商標に関し「インターネットを利用して行う音楽の提供」などの第41類に属する役務について設定登録をしました。
この商標権者(と思われる方)が、同名称を用いてYouTubeやニコニコ動画に動画を投稿した方に対し、冒頭の通り商標の使用料として年額10万円を請求した、というものです。

ただし、この「ゆっくり茶番劇」という名称ですが、上記の商標登録にかかる出願より前から、特定のキャラクターが特定のテキスト読み上げソフトを用いた音声によりさまざまな事柄を紹介等する動画コンテンツの名称として、YouTubeやニコニコ動画などにおいて多数使用・投稿されていました。この「ゆっくり茶番劇」と称するコンテンツ動画は、特定の者が制作・投稿するものではなく、ある種の「ジャンル名」のような形で多くの方々に自由に使用されていたようです。

またこの商標権者は、上記特定のキャラクターにかかる権利者とは関係はなく、YouTubeやニコニコ動画の運営にも関わりがない方とのことです。

この商標を登録したこと、および使用料の請求を行ったことについてはかなり批判があったようで、結果として使用料の請求は断念したようです。また、この登録にかかる商標権についても抹消登録申請がなされました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント

お名前 *

ウェブサイトURL