新規性喪失の例外(特許法30条)を使うときの留意点

こんにちは、GODIVEです。投稿遅くなり失礼致します。

今回は、新規性喪失の例外(特許法30条)を使うときの留意点についてです。

丁度今年の弁理士試験の短答試験で以下のような問題がでました。

特許実用新案 問題20の枝2

 甲は、発明イをし、令和2年 12 月 10 日に、発明イについてインターネットを通じて公開し、令和3年3月 22 日に、発明イについて特許出願Aをし、同時に新規性の喪失の例外の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を特許庁長官に提出し、その出願の日から 30 日以内に、発明イが新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を特許庁長官に提出し、その後甲の特許出願Aは、出願公開された。

 乙は、同一の発明イについて自ら発明をして、令和3年2月 15 日に特許出願Bをし、その後、乙の特許出願Bは、出願公開された。

 この場合、発明イについて、甲の特許出願Aは乙の特許出願Bによる拒絶の理由を有しない。また、乙の特許出願Bはインターネットを通じて公開された発明イによる拒絶の理由を有する。

ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、設定の登録がされておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。

⇒このケースですが、「発明イについて、甲の特許出願Aは乙の特許出願Bによる拒絶の理由を有しない。」というのが誤りとなります。

 この場合は、特許出願Bの方が特許出願Aより先願になります。

そして、このケースでは特許出願Bに係る発明イについては、乙が自ら発明、ということで、特許出願Aと特許出願Bの発明者が同一、ということでもありません。出願Aの発明者は甲で、出願Bの発明者は乙。おそらくこのケースだと、出願人も同一でもない。

 となると、特許出願Aは、特許出願Bの存在により、いわゆる拡大された先願の規定(特許法29条の2)による拒絶理由があることになります。

 新規性喪失の例外(特許法30条)は、発表等した日に特許出願日が遡及ということでないため、またこのように発表等により他社にヒントを与えることになるので、特許出願の対応の原則としては、公開前に特許出願、というのが得策、ということかと考えます。

 次回はまた別のネタにする予定です。このように弁理士試験野題材を見ると、仕事でも(たまに?)起こることが挙げられているので、レビュー等で活用するのも一策かと存じます。

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